代表の想い

祖父が見せてくれた、海の景色

祖父が見せてくれた、兵庫県姫路市の離島、家島諸島。

母の実家がある坊勢島は、漁業が盛んな小さな島です。

私が創業を志した根底には、幼少期に祖父とともに見たこの海の景色があります。

小学生の頃、祖父に連れられて養殖場でサバに餌やりをした経験が、「いつか海に関わる仕事をしたい」と思うきっかけとなりました。

母の実家では、叔父たちが「大漁丸水産」の屋号で祖父の代から漁業を営んできました。

弟もその2代目の叔父の下で働いています。また、叔母の嫁ぎ先は「戎水産」という坊勢地域特有の出買い船と呼ばれる水産仲卸業者です。

つまり、私たち家族は親族全体が海と深く関わりながら生きてきたのです。

私自身は長崎大学大学院で水産環境を専門に学び、海の生態系の美しさには人の営みも大事な要素であることに気づきました。

卒業後は東京の環境コンサル会社に勤務し、発電所の環境アセスメント業務に携わりながら、行政・事業者・地域住民の間で利害を調整し、全体最適を図る視点を養いました。

最後の業務では、石巻市の水産加工業者や大学と連携し、低利用魚を活用した商品開発を担当。

このとき「地元でも同じようなことがしたい」と強く感じました。

30歳を機に、地域おこし協力隊として家島諸島に戻りました。

島で暮らし、産業振興・防災・広報の3分野で活動する中で見えてきた地域の本質的な課題は、「働きたくても働ける場所が少ないこと」でした。

主要産業である漁業は衰退傾向にあり、約200種類もの多様な魚種が水揚げされるものの、鮮度だけでは他地域と差別化が難しく、地域外からの評価や流通が進みにくい現状がありました。

令和7年10月、お魚旬船便合同会社を設立しました。

事業の出発点は、地元で親しまれてきた"漁師のまかない"を缶詰として商品化することです。

DENBA冷凍技術という最新の技術で鮮度を保ちながら、味付けは伝統的なレシピ。

伝統と革新を融合させることで、100年先の食卓にも届く缶詰を作っています。

しかし、これはあくまで入り口に過ぎません。

私たちが目指すのは、水産・観光・雇用・防災といった複数の地域課題に対し、それぞれが"つながりを持った解決策"となるよう、事業を設計することです。

お魚旬船便のミッションは、家島諸島を「内湾地域の旗艦」にすることです。

ここが日本の内湾漁業のモデルケースとして、全国から注目される場所にする。

そのために、「地域と技術をつなぐ導き手」として、地域の漁業者と最新技術をつなぎ、海の環境とそこに住むモノたちの生活を守る仕事をしていきます。

「必死に生きているモノは美しい」あの時、祖父が口にした自然への感謝を胸に、一品一品、心を込めて製造しています。

あなたの食卓に、家島諸島の海の味をお届けします。

お魚旬船便合同会社 代表社員 小林昂祐